
耳の洗浄は、すべての犬・猫に毎日必要なケアではありません。やりすぎると耳道を刺激し、かえって炎症の原因になることがあります。当院から洗浄を指示された場合に、正しい方法で行いましょう。

洗浄せず、先に受診してください
- 耳が赤い、腫れている、強く痛がる
- 悪臭、膿、血、黒い耳垢が多い
- 頭を何度も振る、耳を激しくかく
- 頭が傾く、ふらつく、目が揺れる
- 草の種など異物が入った可能性がある
- 鼓膜の状態を確認していない、使ってよい洗浄液が分からない
炎症や鼓膜損傷がある耳では、洗浄液によって痛みや状態が悪化することがあります。
用意するもの
- 当院から指示された外耳洗浄液
- コットンまたは清潔なガーゼ
- タオル
- ごほうび
綿棒を耳道の奥へ入れないでください。耳垢を奥へ押し込んだり、耳道や鼓膜を傷つけたりするおそれがあります。アルコール、オキシドール、酢などの自己流の液も使わないでください。
基本の外耳洗浄:6つの手順
- 落ち着ける場所で準備
滑りにくい場所で、洗浄液・コットン・タオルを手の届く所に置きます。冷たい洗浄液を嫌がる子では、容器を手のひらで少し温めます。 - 耳介をやさしく持ち上げる
耳の入口が見えるように、耳介を上へやさしく伸ばします。ボトルの先端を耳に触れさせないようにします。 - 指示された量の洗浄液を入れる
耳道へ洗浄液を入れます。量や頻度は、その子の耳の状態と製品によって異なるため、当院の指示を優先してください。 - 耳の付け根をもむ
耳道の入口より下にある付け根を、20〜30秒ほどやさしくマッサージします。液が動く音がする程度で十分です。 - 頭を振らせる
手を放し、犬・猫自身に頭を振ってもらいます。洗浄液と耳垢が入口側へ出てきます。周囲が汚れないようタオルを用意します。 - 見える範囲だけ拭く
耳介と入口へ出てきた汚れを、コットンまたはガーゼでやさしく拭きます。指が届く範囲より奥へ入れません。
動画で確認する
動画を見る前に:洗浄液の種類と、耳道へ直接入れてよいかは耳の状態によって異なります。動画と当院の指示が異なる場合は、当院の指示を優先してください。痛み、強い赤み、悪臭、膿・血、頭の傾きやふらつきがある場合は洗浄せず受診してください。
犬・猫の基本的な外耳洗浄
動画提供:株式会社QIX「無香料イヤークリーナーの使用方法」(1分44秒)
洗浄液を入れる、耳の付け根をもむ、出てきた汚れを拭く流れを確認できます。動画と同じ製品でなくても、必ず当院から指定された洗浄液を使用してください。
猫の見える範囲のお手入れ
動画提供:ライオンペット「猫の耳掃除のコツ」
健康な猫は頻繁な耳掃除が不要なことも多く、まずは見える範囲をやさしく拭く方法が基本です。この動画は耳道へ洗浄液を入れる方法ではありません。耳道洗浄は当院から指示がある場合だけ行ってください。
洗浄液を直接入れるのが苦手な子
洗浄液を含ませたコットンを耳道の入口に置き、耳の付け根をやさしくもんでから取り出す方法が合う場合もあります。コットンが奥へ入らない大きさにし、必ず取り出せる位置で使います。適した方法は診察時にご相談ください。
点耳薬も使う場合
- 洗浄と点耳薬の順番・間隔・回数は処方指示に従います。
- 一般には洗浄で耳垢を除いた後に点耳しますが、洗浄液と薬の組み合わせによっては薬の効果へ影響することがあります。
- 点耳薬を入れた後も耳の付け根をやさしくもみ、薬を耳道へ行き渡らせます。
- 症状が良く見えても、自己判断で中止せず再診日を守ってください。
どのくらいの頻度で洗う?
健康で汚れの少ない耳は、定期洗浄が不要なこともあります。外耳炎の治療中、再発しやすい犬、泳ぐ機会が多い犬などでは、状態に合わせた頻度を設定します。毎日・週1回など一律ではありません。
猫も同様で、健康な耳を予防目的で頻繁に洗う必要は通常ありません。黒い耳垢が多い場合は耳ダニなども考えられるため、洗って様子を見る前に診察を受けましょう。
よくある間違い
- 綿棒で奥まで掃除する:汚れを押し込み、耳を傷つけます。
- 毎日きれいにしすぎる:皮膚のバリアを乱し、刺激になることがあります。
- 耳毛を一律に抜く:炎症を起こすことがあります。必要性は個別に判断します。
- 市販品や手作り液を自己判断で使う:炎症や鼓膜の状態に合わないことがあります。
- 強く押さえて続ける:耳への恐怖が強くなります。痛がる時は中止してください。
洗浄後に連絡してほしい症状
- 強い痛み、出血、腫れ
- 頭の傾き、ふらつき、吐き気
- 洗浄後も悪臭や膿が続く
- 耳を触れないほど嫌がる
ご自宅で難しい場合は、無理をせず当院で洗浄します。診察時に実際の手順を一緒に練習できます。
参考情報:MSD Veterinary Manual、Cornell University College of Veterinary Medicine(閲覧日:2026年7月28日)