【2026年7月更新】気温と湿度が上がる季節は、ワンちゃんも熱中症に注意が必要です。犬は全身で汗をかくことが苦手で、主にパンティング(口を開けた「ハァハァ」という呼吸)で体温を下げます。そのため、暑い日だけでなく、湿度が高い日や運動中、風通しの悪い室内でも短時間で重症化することがあります。
熱中症は緊急事態です。激しいパンティング、ふらつき、嘔吐、ぐったりするなどの異変があれば、まず涼しい場所で冷却を始め、すぐに動物病院へ連絡してください。いったん元気に見えても、体内の障害が遅れて現れることがあります。
熱中症のサインを段階別に確認
早い段階で見られやすいサイン
- いつもより激しく、速くパンティングしている
- よだれが多い、舌や歯ぐきが赤い
- 落ち着かず、日陰や水を探している
- 体が熱い、心拍が速い
- 嘔吐や下痢がある
すぐに受診が必要な危険サイン
- ぐったりして動けない、ふらつく、倒れる
- 呼びかけへの反応が鈍い、意識がもうろうとしている
- 呼吸が苦しそう、音のする呼吸をしている
- 舌や歯ぐきが白っぽい、または青紫色になっている
- けいれん、失神がある
これらの症状がある場合は、様子を見ずに当院または最寄りの動物病院へ連絡してください。
熱中症が疑われるときの応急処置
- 涼しく風通しのよい場所へ移動する
冷房の効いた室内や日陰へ移し、首輪や服など体を締め付けるものをゆるめます。 - すぐに冷却を始める
常温から冷たい程度の水で体を濡らし、扇風機、うちわ、エアコンの風を当てて気化熱で冷やします。特に腹部、わきの下、内股など毛の薄い部分を濡らすと効率的です。 - 冷やしながら動物病院へ連絡する
「いつから」「どこで何をしていたか」「現在の症状」「行った冷却」を伝え、受診方法を確認します。移動中も車内を冷房で涼しくしてください。 - 飲める場合だけ少量ずつ水を勧める
意識がはっきりしていて自分で飲める場合に限ります。無理に口へ流し込まないでください。
避けたいこと:氷水に全身を浸す、氷を直接長時間当てる、意識が悪い犬に無理に水を飲ませる、元気になったように見えるため受診を中止する、といった対応は避けましょう。
受診時に伝えると役立つ情報
- 症状に気づいた時刻と、その後の変化
- 散歩、運動、車内、留守番など発症前の状況
- 行った冷却方法と時間
- 持病、服用中の薬、年齢、犬種
熱中症では脳、腎臓、肝臓、消化管、血液凝固などに影響が及ぶことがあります。見た目が落ち着いても、獣医師の診察が必要かどうか必ず確認してください。
日頃からできる7つの対策
1.散歩は早朝か夜に
日中の道路は気温以上に熱くなります。地面に手の甲を数秒当て、熱いと感じる場合は散歩を控えましょう。気温だけでなく湿度や暑さ指数(WBGT)も確認してください。
2.散歩の距離と運動量を減らす
暑い日は短時間でも熱がこもります。日陰でこまめに休み、呼吸が荒くなる前に切り上げましょう。
3.室温と湿度を管理する
留守番中もエアコンを使用し、直射日光をカーテンなどで遮ります。停電やエアコン停止にも気づけるよう、可能であれば室温計や見守り機器を活用しましょう。
4.新鮮な水をいつでも飲めるようにする
水飲み場を複数用意すると安心です。外出時も飲み水と器を持ち歩き、こまめに休憩してください。
5.車内には絶対に残さない
窓を少し開けていても、車内温度は短時間で危険な高さになります。「少しだけ」でも車内で待たせないでください。
6.暑さに弱い犬は早めに対策する
パグやフレンチ・ブルドッグなどの短頭種、子犬、高齢犬、肥満の犬、厚い被毛の犬、心臓・呼吸器の病気がある犬は特にリスクが高くなります。涼しい日でも興奮や運動で体温が上がることがあります。
7.真夏になる前から備える
急に気温が上がる日や梅雨時の蒸し暑い日も要注意です。暑さに体が慣れていない時期から、無理のない散歩時間と室内環境を整えましょう。
迷ったら早めにご相談ください
熱中症は予防が大切ですが、発症した場合は時間との勝負です。「いつもと違う」「熱中症かもしれない」と感じたら、自己判断で様子を見続けず、冷却を始めながら早めに当院へご連絡ください。
参考:環境省「防ごう!ペットの熱中症」、Royal Veterinary College「Heatstroke in dogs and cats」、American Veterinary Medical Association「Pet First Aid」