特発性前庭疾患

冬になると猫ちゃんの尿石症などの泌尿器系の疾患が多いのですが、他に来院頻度が多いなと感じる症例が、老犬の特発性前庭疾患です。寒さによるストレスなどが引き金になるのでしょうか。

急に首が捻れ、眼球が振れて吐き気があり、起き上がったり歩くことが困難になる老犬の病気に特発性前庭疾患があります。(特発性とは原因がまだはっきり解っていないこと、前庭とは耳の奥の内耳にある平衡感覚を司る領域をいいます)。似た様な症状を示す他の脳疾患もありますので鑑別診断は必要ですが、特発性前庭疾患は特に老犬に多く発症し、異常の場所がわからないため対症療法が一般的です。
多くの場合は数週間で自然に回復します。斜頚(首の筋肉の収縮力が低下して首が左右どちらかに曲がること)が後遺症として残る場合もあります。

症状の程度はその子によって様々なので、回復にかかる時間もその子その子で違います。

症状が強いとぐるぐると転がってしまったり、眼球の振れがひどいとご飯も受け付けないことが多く、飼い主さんもそんな様子に不安を感じ、回復に時間がかかると、心身ともに疲れてしまいます。

ただ、回復を待つより他はない面もありますので、愛犬が危なくないような対策を取りながら看護をしていただけたらと思います。

冬場は老犬の低体温症も多いので、温度管理には注意をしてください。

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