
子猫との暮らしが始まる日は、うれしい反面「まず何をすればいいの?」と迷うものです。大切なのは、急いで家中を探検させたり、先住猫とすぐに対面させたりすることではありません。子猫だけの安全な部屋を用意し、食事・排せつ・体調を落ち着いて観察することから始めましょう。
最初に覚えておきたい4つ
1.先住猫がいる場合は、健康確認が済むまで別室で過ごす
2.猫免疫不全ウイルス(FIV)・猫白血病ウイルス(FeLV)の検査を動物病院へ相談する
3.ノミ・シラミなどの外部寄生虫を確認し、必要な駆除を行う
4.静かで安全な居場所をつくり、食事や生活リズムを急に変えない
1.先住猫と会わせる前に、別室と健康確認を
すでに猫がいる家庭では、新しい子猫を迎えたその日に直接会わせないことが大切です。まずはドアを閉められる別室に、子猫専用の食器、トイレ、寝床、キャリーを用意し、先住猫と物を共用させずに過ごします。

子猫が元気に見えても、できるだけ早く動物病院で健康診断を受け、猫免疫不全ウイルス(FIV/いわゆる猫エイズ)と猫白血病ウイルス(FeLV)の検査を相談しましょう。どちらも、迎えたばかりの猫では感染状況が分からないことがあります。検査結果は年齢、感染した可能性のある時期、これまでの生活環境によって解釈が変わり、陽性時の確認検査や陰性後の再検査が必要になる場合もあります。
同時に、被毛と皮膚を診てもらい、ノミ、シラミ、耳ダニなどの外部寄生虫がいないか確認します。必要な駆除が終わり、獣医師から同居を始めてよい時期を聞くまでは、先住猫との接触を避けましょう。駆除薬は猫の月齢や体重に合うものを使用し、犬用の薬や市販薬を自己判断で使わないでください。
子猫の世話をした後は手を洗い、ブラシ、毛布、食器、トイレ用品も分けます。先住猫にもノミ予防やワクチンなど必要な対策があるため、一緒に動物病院へ相談すると安心です。
2.迎える前に「子猫だけの安全な部屋」をつくる
最初から家中を自由に歩かせるより、静かな一室から始めると、子猫は落ち着きやすく、家族も食事や排せつを確認しやすくなります。
用意しておきたいものは次のとおりです。
- 子猫用フードと食器、水入れ
- 出入りしやすい子猫用トイレと、これまで使っていた種類に近い猫砂
- 体を隠して休める箱やベッド
- 安全に運べるキャリー
- 爪とぎ
- 誤飲しにくい大きさの猫用おもちゃ
- 譲渡元・販売元から受け取った健康、ワクチン、駆虫、食事の記録
ひも、糸、輪ゴム、ヘアゴム、針、小さなおもちゃ、薬、洗剤、たばこ、電気コードは届かない場所へ移します。窓や網戸の脱走対策を確認し、洗濯機、乾燥機、リクライニング家具、狭い家具のすき間にも入れないようにします。ユリ類など猫に有害な植物や、ネギ類、チョコレートなどの誤食にも注意してください。
3.初日は、構いすぎず静かに休ませる
移動と環境の変化は、子猫にとって大きな出来事です。家に着いたら、まず子猫用の部屋へキャリーごと置き、扉を開けたら自分から出てくるのを待ちます。トイレ、水、寝床の場所を見せた後は、静かに休ませましょう。
初日は来客、長時間の抱っこ、シャンプー、先住猫との対面を詰め込まないようにします。隠れていても無理に引き出さず、子猫の方から近づいてきたときに短時間やさしく接します。
4.食事は急に変えず、食べた量と排せつを記録する
最初は、迎える前に食べていた子猫用フードを、教えてもらった量と回数で与えます。フードを変える場合は、体調を見ながら少しずつ切り替え、方法を動物病院に相談しましょう。牛乳は下痢の原因になることがあるため、与えないでください。
「いつ、何を、どのくらい食べたか」「水を飲んだか」「尿と便の回数・状態」「吐いていないか」を毎日メモします。小さな子猫は体調が変わりやすいため、食べない状態を長く様子見しないことが大切です。
5.できるだけ早く動物病院へ相談する
元気に見えても、迎えたら早めに健康診断を予約します。月齢、体重、栄養状態、口・目・耳・皮膚、心肺、便の状態などを確認し、ワクチン、内部・外部寄生虫の予防、FIV・FeLV検査、FeLVワクチン、マイクロチップ、避妊・去勢について相談できます。
FIVやFeLVの検査で陽性が出ても、その1回だけで将来を決めつけず、確認検査やその後の暮らし方を獣医師と相談してください。感染猫でも適切な管理で生活できる場合があります。先住猫との同居方法は、感染症の種類、猫同士の関係、ワクチン歴などを踏まえて個別に判断します。
すぐに動物病院へ連絡したいサイン
呼吸が苦しそう、ぐったりして立てない、けいれん、誤食の可能性がある、何度も吐く、下痢を繰り返す、血便、尿が出ない、体が冷たい、食べない・飲まない状態が続くなど、いつもと明らかに違うときは様子を見続けず連絡してください。特に月齢の低い子猫は、迷ったときも早めの相談が安心です。
6.トイレは静かな場所に置き、失敗しても叱らない
トイレは食器や寝床から少し離れた、静かで行きやすい場所に置きます。起きた後や食後にそっと案内し、使えたら静かに褒めます。失敗しても叱らず、においが残らないよう片づけましょう。
先住猫と同居を始めた後も、トイレや食器を急に共用させないようにします。猫が落ち着いて排せつできるよう、複数の場所にトイレを用意することも検討しましょう。
7.先住猫との対面は、健康確認後に少しずつ
動物病院で健康状態と感染症・寄生虫対策を確認したら、すぐに同じ部屋へ放すのではなく、まずは閉じたドア越しに気配やにおいへ慣らします。タオルや寝具を交換して互いのにおいを知る、ドアの両側で食事をするなど、落ち着いていられる距離から始めます。
その後は柵や少し開けたドア越しの短い対面へ進み、うなり、追いかけ、食欲低下、トイレの失敗など強いストレスが見られたら一段階戻します。仲良くすることを急がず、先住猫にも普段どおりの時間と逃げ場所を確保しましょう。
8.マイクロチップと完全室内飼育の準備を確認する
販売業者から迎えた猫など、すでにマイクロチップが装着されている場合は、環境省の登録サイトで飼い主情報への変更登録が必要です。登録証明書は大切に保管し、電話番号や住所が変わったときも更新しましょう。
窓、玄関、ベランダの脱走対策を行い、完全室内飼育を基本にします。迷子や交通事故、猫同士のけんか、感染症や寄生虫への接触リスクを減らすことにつながります。
最初の1週間チェックリスト
- 先住猫とは別室にし、食器・トイレ・寝具を分けた
- 動物病院を予約し、FIV・FeLV検査と寄生虫対策を相談した
- 譲渡元・販売元の健康、ワクチン、駆虫、食事の記録を確認した
- 食事、水、尿、便、嘔吐、元気の記録をつけた
- ひも・植物・窓・家電・家具のすき間など家の危険を見直した
- 先住猫との対面を急がず、健康確認後に段階的に進めた
- マイクロチップ情報と脱走対策を確認した
子猫が新しい家に慣れる早さは、一頭ずつ違います。少し食べられた、落ち着いて眠れた、トイレを使えたという小さな前進を見つけてあげましょう。先住猫がいる場合ほど、最初の隔離と健康確認を丁寧に行うことが、どちらの猫も安心して暮らすための土台になります。
参考情報
- 2020 AAFP Feline Retrovirus Testing and Management Guidelines
- Companion Animal Parasite Council「Fleas」
- Companion Animal Parasite Council「Lice」
- 環境省「飼い主の方やこれからペットを飼う方へ」
- 環境省「犬と猫のマイクロチップ情報登録について」
※本記事は一般的な情報です。子猫の検査、寄生虫対策、ワクチン、食事、先住猫との同居については、実際に診察した獣医師の指示を優先してください。